スマートロックの危険性とは?6つと対策|ハッキングより怖い締め出しの実態
スマートロック(スマートフォンや暗証番号でドアの施解錠を行う電子錠)の主な危険性は、①電池切れやスマートフォンの紛失による締め出し、②ハッキングや暗証番号の解読による不正解錠、③本体の故障や設置不可の3カテゴリに分かれます。
このうち最も現実的なリスクは締め出しであり、ハッキングによる住居侵入は警察庁の統計上ほぼ確認されていません。
この記事では、スマートロックの危険性6つを統計データや事件事例とともに整理し、それぞれの具体的な対策と「結局スマートロックは安全なのか」という判断材料を、導入・継続をご自身で決められる形でお伝えします。
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目次
スマートロックにどんな危険性がある? 起こりうる6つのトラブル

スマートロックの危険性は、締め出し系・セキュリティ系・機器/設置系の3カテゴリ6種に整理できます。このなかで日常的に最も遭遇しやすいのは、ハッキングのような派手な脅威ではなく、電池切れやスマートフォンの忘れによる締め出しです。
以下では6つの危険性を1つずつ取り上げ、それぞれがどの程度現実的なリスクなのか、どう備えればよいのかの概要を示します。具体的な対策セットは記事後半でまとめて扱います。
1. 電池切れ・充電切れで家に入れなくなる

締め出しの原因は、スマートロック本体の電池切れと、操作に使うスマートフォンの充電切れの両方にあります。どちらか一方でも電源が落ちると、外出先から施解錠できなくなります。
本体の電池は製品や使用頻度によって半年から1年が交換の目安で、多くの製品は専用アプリで残量を確認でき、低下時に通知する機能を備えています。とはいえ通知を見落としたまま外出すると、帰宅時に開かないという事態に陥ります。スマートフォンに依存するタイプの製品では、本体とスマートフォンの二重で電源を気にかける必要が出てくるわけです。
備えとしては、予備電池の常備、スマートフォン用のモバイルバッテリーの携帯、そして物理鍵の確保が基本になります。
2. オートロックでスマホを室内に忘れて締め出される

オートロック機能は、ドアが閉まると自動で施錠します。便利な反面、スマートフォンやカードキーを持たずに外へ出た瞬間に締め出される原因にもなります。
典型的なのは、ゴミ出し・郵便受けの確認・宅配の受け取りなど、「ほんの少しだけ」と手ぶらで玄関を出る場面です。背後でドアが施錠され、室内のスマートフォンにも手が届かなくなります。管理会社がマスターキーを持っていない場合は鍵業者を呼ぶことになり、深夜や休日は対応までに時間がかかります。
スマートフォンや物理鍵を持って出る習慣をつけることが、この締め出しを防ぐ最初の一手です。
3. 通信障害やアプリ不具合で解錠できない

電子錠である以上、通信やソフトウェアのトラブルでも一時的に施解錠できなくなることがあります。原因はおおむね3つで、Bluetooth接続が周囲の電波と干渉するケース、メーカーのサーバーがダウンするケース、そしてアプリ自体のバグやアップデート不具合です。
こうした不具合は自分では制御できないため、スマートフォンの操作以外に解錠する手段を残しておくことが効いてきます。暗証番号での解錠や物理鍵といった代替経路があれば、通信が一時的に止まっても締め出されずに済みます。
4. ハッキングや不正アクセスのリスク
BluetoothやWi-Fiといった無線通信を使う以上、理論上はハッキングのリスクがあります。ただし、高度な暗号化処理を備えた製品では、現実に被害へ遭う可能性は極めて低いというのが実態です。
「では実際にハッキング事件は起きているのか」「指跡から暗証番号を割り出されたという報道は本当か」という点は、統計と事例で丁寧に検証する価値があります。これは次のセクションで詳しく扱います。
5. 本体の故障や経年劣化

スマートロックは電子機器なので、本体の故障や経年劣化も避けられません。施解錠を担うモーターの不具合、玄関まわりの結露や直射日光による損傷などが原因で、ある日突然動かなくなることがあります。
耐用年数の目安は2〜5年です。購入時には、メーカーの保証期間やサポート体制、故障時に物理鍵で開けられるかどうかを確認しておくと、いざというときに慌てずに済みます。
6. ドアの形状により設置できない
そもそも自宅のドアに取り付けられないケースもあります。設置できない典型は、ドアノブ一体型のドア、プッシュプルハンドルのドア、そしてサムターンの形状が製品と合わない場合です。賃貸物件では、原状回復の観点から設置自体に制限がかかることもあります。
購入前にメーカーへ自宅ドアの適合を確認し、賃貸なら管理会社や大家へ事前に相談しておくと、取り付けられずに無駄な出費をする失敗を防げます。
スマートロックのハッキングは実際に起きている? 事件事例とリスクの実態

結論から言えば、スマートロックがハッキングされて住居に侵入された事例は、統計上ほとんど確認されていません。現実に起きている脅威は、通信を破る高度な攻撃ではなく、暗証番号パネルの指跡を観察するような物理的な手口の方です。
この見立てを、空き巣の侵入手口の統計・実際の事件・Bluetooth傍受の技術的な難しさという3つの角度から確かめていきます。
空き巣の侵入手口は「無施錠」と「ガラス破り」が約8割
そもそも空き巣は、わざわざ電子錠を破ろうとはしません。住宅への侵入方法でもっとも多いのは鍵の閉め忘れを意味する「無締り」で47.8%と全体の約半数を占め、次いで多いのが「ガラス破り」の30.1%です(出典:ALSOK(警察庁調査)「令和6年の刑法犯に関する統計資料」2025年)。この2つだけで侵入手口の約8割を占め、電子錠のハッキングは主要な手口として統計に登場しません。

理由は単純で、開いている家や窓を割れる家を探す方が、暗号化された通信を破るよりもはるかに容易で効率的だからです。侵入者にとってスマートロックを狙い撃つ動機は薄いと言えます。
むしろ注目すべきは、オートロック機能があれば最大の侵入手口である「無締り」をそもそも発生させずに済むという点です。閉め忘れを物理的に防げることは、防犯上の利点として正当に評価できます。
指跡から暗証番号を割り出された実事件(2024年)
では、スマートロックの暗証番号が破られた事件は実際にあるのでしょうか。
2024年、大阪府警は、スマートロックのパネルに残った指跡から暗証番号を割り出し、一人暮らしの女性宅に侵入した男を逮捕しました。男は「女性の生活に興味があり、遊び感覚で暗証番号を当てていた」と供述しています(出典:日本経済新聞「女性宅狙う侵入犯、スマートロックに死角 指跡から解錠」2024年)。
この手口で見落とせないのは、通信を破るハッキングではなく、パネルに残った物理的な痕跡を観察したという点です。つまりテクノロジーの脆弱性というより、運用の油断が侵入を許したことになります。

裏を返せば、防ぎ方も物理的です。暗証番号を定期的に変更する、入力後にパネルを拭き取る、指紋認証や物理鍵と併用するといった運用で、この種のリスクは大きく下げられます。
Bluetooth傍受の技術的ハードルと現実的リスク
無線通信の傍受についても整理しておきます。スマートフォンとスマートロックの間でやり取りされるBluetooth信号を第三者が傍受し、その内容を悪用したり、間に割り込んで通信を乗っ取る中間者攻撃は、理論的には可能です。
ただし現実の難度は非常に高くなっています。Bluetooth 5.0以上の規格に加え、AES-128やAES-256といった強力な暗号化を採用した製品では、傍受した信号を解読すること自体が困難です。さらに、施解錠のたびに信号が更新されるローリングコードを備えた製品なら、仮に過去の信号を記録できても再利用できません。

一方で、古いBluetooth規格や暗号化に対応していない安価な製品は、相対的にリスクが高くなります。だからこそ、製品を選ぶ段階で暗号化方式や通信規格を確認しておくことが、ハッキング対策として実質的に効いてきます。
スマートロックは結局安全か? 従来の鍵との比較

ここまでの整理を踏まえて率直に言うと、スマートロックはセキュリティのレベルを上げる道具ではなく、施解錠を便利にする道具です。
信頼性という観点では、従来の物理鍵に分があります。物理鍵の耐用年数が5年以上であるのに対し、スマートロックは2〜5年が目安です。電池やモーター、電子部品といった故障し得る要素を抱えているぶん、「いざというとき確実に動くか」という信頼性では物理鍵に劣ります。
ただし、防犯面で一方的に劣るわけではありません。前述のとおり、住宅侵入の最大の手口は鍵の閉め忘れによる「無締り」です。オートロック機能はこの閉め忘れを物理的に防ぐため、その一点においては従来鍵にない防犯効果を発揮します。
つまり、閉め忘れ防止や鍵の持ち歩き不要といった利便性を取るか、故障の少ない確実さを取るかを天秤にかけ、その上で導入を判断するとよいでしょう。アプリ操作に不慣れな家族がいる場合は、暗証番号やICカードなどスマートフォン以外の解錠方法も選べる製品かどうかも、あわせて見ておくと安心です。
スマートロックの危険性を回避する5つの対策

これまで挙げた6つの危険性は、いずれも事前の対策で回避できます。具体的には、物理鍵のバックアップ・電池管理・暗証番号運用・製品選定・補助防犯の5軸で備えれば、締め出しからハッキング、故障まで一通りカバーできます。
物理鍵バックアップと電池管理は締め出し系のリスクに、暗証番号運用と製品選定はセキュリティ系のリスクに、補助防犯は防犯性の底上げに対応します。以下で1つずつ見ていきます。
1. 物理鍵のバックアップを常に確保する
電池切れ・通信障害・アプリ不具合など、あらゆる締め出しリスクに対して最も確実な保険になるのが物理鍵です。後付け型のスマートロックは既存の鍵穴を残したまま設置できるため、いざというときは従来どおり物理鍵で解錠できる状態を維持できます。

毎日持ち歩くのが面倒なら、職場のロッカーや近くに住む家族に1本預けておく方法もあります。締め出されたときに頼れる物理的な経路を1つ確保しておくことが要点です。
2. 電池残量の定期確認とモバイルバッテリーの携帯
電池切れによる締め出しは、残量を意識する習慣で防げます。多くの製品は専用アプリで電池残量を確認でき、低下時に通知する機能があるため、警告が出たら早めに交換してください。
あわせて、スマートフォン側の充電切れにも備えてモバイルバッテリーを携帯しておくと、外出先で電源が落ちても解錠操作を続けられます。
3. 暗証番号の定期変更と指跡の拭き取り
暗証番号タイプを使うなら、2024年の指跡事件で見たような物理的な解読への備えが必要です。対策は3つに集約できます。
- 暗証番号を定期的に変更し、同じ番号を使い続けない
- 入力後にパネルを拭き取り、指跡を残さない
- 誕生日や「1234」など推測されやすい番号を避ける
これらを習慣にすれば、パネルの痕跡から番号を割り出される余地を大きく減らせます。
4. セキュリティ基準を確認して製品を選ぶ
ハッキングリスクの大半は、製品選定の段階で抑えられます。確認したいのは次の4つの基準です。
- 暗号化方式(AES-128やAES-256など強力な暗号化に対応しているか)
- ローリングコード(施解錠のたびに信号が更新されるか)
- 施解錠の通知・履歴機能(不審な操作にすぐ気づけるか)
- メーカーのサポート体制(故障や不具合時に対応を受けられるか)
SSL通信やAES-256暗号化を採用した製品を選べば、通信面の安全性は十分に確保できます。メーカーがISMSなどのセキュリティ認証を取得しているかどうかも、信頼性を見極める判断材料になります。
5. 補助錠や防犯カメラとの併用
スマートロック単体で防犯を完結させようとせず、ほかの手段と組み合わせると安心感が高まります。補助錠を加えた二重施錠(ワンドアツーロック)は、侵入に要する時間と手間を増やし、空き巣に対する強い抑止力になります。

玄関まわりに防犯カメラを設置すれば、視覚的な抑止力も加わります。さらに、高齢の家族や子どもがいる家庭では、暗証番号やICカードなどスマートフォン以外の解錠方法を選べる製品にしておくと、操作に不慣れな人でも無理なく使えます。
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まとめ

スマートロックの危険性は、対策を講じれば過度に恐れる必要はありません。危険性は締め出し系・セキュリティ系・機器/設置系の3カテゴリ6種に整理でき、最も現実的なリスクは電池切れやスマートフォン忘れによる締め出しです。
ハッキングによる住居侵入は統計上ほぼ確認されておらず、現実の脅威はむしろ指跡から暗証番号を割り出すような物理的手口でした。
スマートロックの危険性は、以下のように整理ができます。
| 観点 | スマートロック | 従来の物理鍵 |
| 耐用年数の目安 | 2〜5年 | 5年以上 |
| 最大の侵入手口「無締り」への効果 | オートロックで防止できる | 閉め忘れは防げない |
| ハッキングによる侵入 | 統計上ほぼ確認されていない | 該当しない |
| 最も現実的なリスク | 電池切れ・スマホ忘れによる締め出し | 紛失・閉め忘れ |
スマートロックは防犯を強化する道具ではなく、施解錠を便利にする道具です。この前提を見誤らなければ、過信も後悔も避けられます。
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