スマートロックとは、スマートフォンや暗証番号・指紋認証などで玄関の施錠・解錠ができるデバイスです。両面テープで貼り付けるタイプを選べば工事不要で取り外しも簡単なため、賃貸物件でも問題なく導入できます。施錠忘れの防止、鍵の持ち歩き不要、外出先からの遠隔確認といったメリットがあり、鍵まわりのストレスを大きく減らせます。

ただし、すべての製品があらゆるドアに対応するわけではありません。製品選びと導入前の確認を誤ると、取り付けできない・退去時にトラブルになるといった失敗につながります。

賃貸物件のデジタル化は着実に進んでいます。MM総研「集合住宅のデジタルツール導入実態調査」2025年では、スマートロックは「導入した物件で入居率の向上に貢献する成長分野」と評価されました。入居者の利便性向上だけでなく物件の競争力強化にもつながるため、入居者・オーナー双方からの注目が高まっています。

本記事では、賃貸向けスマートロックの選び方4つのポイント、おすすめ製品3選、導入時の注意点3つを取り上げます。大家・管理会社向けの導入メリットもあわせて紹介します。

物件の内見業務を効率化したい大家・管理会社の方には、スマートロックと連携して24時間無人内見を実現する無人内見くんもあわせてご検討ください。

賃貸向けスマートロックを選ぶ4つのポイント

賃貸物件でスマートロックを選ぶ際、持ち家とは異なる独自のチェックポイントがあります。壁や扉を傷つけない方法で取り付けられるか、自宅のドア形状に対応しているか、生活スタイルに合った解錠方法かどうかを事前に確認することが、失敗のない導入につながります。

製品を選ぶ前に確認すべきポイントは次の4つです。

  1. オートロック・遠隔操作など必要な機能をチェックする
  2. 取り付け方法は「両面テープ貼り付け型」か「マグネット取り付け型」がおすすめ
  3. 購入前にサムターンの形状と対応を確認する
  4. 解錠方法を生活スタイルに合わせて選ぶ

1. 取り付け方法は「両面テープ貼り付け型」か「マグネット取り付け型」がおすすめ

賃貸物件でスマートロックを導入するなら、取り付け方法は両面テープ貼り付け型か、マグネット取り付け型を選んでください。シリンダー交換型や穴あけ工事型は、ドアの内部構造に手を加えるため管理会社の許可が必要です。許可が下りても、退去時の原状回復が難しく、費用負担が生じる可能性があります。

両面テープ貼り付け型であれば、工事は一切不要です。既存のサムターン(室内側の鍵つまみ)に被せるように取り付けるだけで、作業時間は数分で済みます。退去時は両面テープを丁寧に剥がして取り外すだけで、ドアに大きなダメージを与えることなく原状回復できます。

従来の物理鍵もそのまま使えるため、万が一の際のバックアップにもなります。

製品を探す際に「工事不要」「後付け」と記載されているものを選ぶと、貼り付け型の製品に絞り込みやすくなります。


2. 購入前にサムターンの形状と対応を確認する

スマートロックで最も多い失敗は、購入後に自宅のドアに取り付けできないとわかることです。スマートロックはサムターンのつまみを挟み込んで回す仕組みのため、サムターンの形状が対応範囲から外れていると、そもそも設置できません。

購入前に確認すべき点は次の3つです。

  • サムターンの形状(丸型・長方形・レバー型など)
  • つまみの高さ(製品ごとに対応範囲が異なる)
  • ドアとサムターンの間の隙間(取り付けアームが入るスペースが必要)

プッシュプルハンドルや特殊形状のサムターンは、多くのスマートロックで非対応です。また、ドアに近接センサーや磁石が組み込まれているタイプも注意が必要です。各メーカーの公式サイトには対応確認ツールや対応サムターン一覧が掲載されているため、自宅のサムターンを計測してから購入判断をしてください。

3. 解錠方法を生活スタイルに合わせて選ぶ

スマートロックの解錠方法は製品によって異なり、スマートフォンアプリ・暗証番号・指紋認証・ICカード・手ぶら解錠(ハンズフリー)などがあります。どの方法が便利かは、使う人の生活スタイルで変わります。

一人暮らしでスマートフォンを常に持ち歩く方であれば、アプリ解錠だけで十分なケースがほとんどです。一方、小さな子どもがいる家庭や、スマートフォンを持たない家族と同居している場合は、暗証番号や指紋認証に対応した製品を選ぶと使い勝手が上がります。両手がふさがりやすい状況が多いなら、スマートフォンを出さずに近づくだけで解錠できるハンズフリー機能も検討に値します。

なお、暗証番号入力や指紋認証に使う認証パッドは、多くの製品で別売となっています。本体価格だけでなく、必要なオプションとの合計コストも含めて比較してください。

4. オートロック・遠隔操作など必要な機能をチェックする

スマートロックには、解錠以外の付加機能も製品によって異なります。自分の生活に本当に必要な機能を絞り込んでおくと、製品選びがスムーズです。

オートロックは、ドアが閉まると自動で施錠する機能です。鍵の閉め忘れを防げる一方、スマートフォンをうっかり室内に置いてきたときに締め出される可能性があります。オートロックを使う際は物理鍵を必ず携帯することが前提となります。

遠隔操作(リモート解錠・施錠)と施解錠履歴の確認には、Wi-Fi接続が必要です。多くの製品はBluetooth専用のため、遠隔操作をしたい場合はWi-Fiハブを別途購入する必要があります。Bluetooth専用モデルでは、スマートフォンが一定距離に近づかないとアプリが反応しないため、この違いは購入前に確認してください。

電池残量通知や施解錠履歴の記録も、日常使いの安心感に直結する機能です。すべての機能がすべての製品に搭載されているわけではないため、必要な機能に優先順位をつけてから製品を比較してください。続いて紹介する3製品は、いずれもこれらの基準を満たしたモデルです。

賃貸におすすめのスマートロック3選

ここで紹介する3製品は、すべて両面テープ貼り付け型で工事不要。上で挙げた選び方の基準をふまえ、価格帯・解錠方法・バッテリー寿命・特徴のバランスを見て選んでいます。

製品名価格(税込)主な解錠方法バッテリー特徴
SESAME 5 Pro4,480円スマホ / Apple WatchCR123A×2本業界唯一のブラシレスモーター・100万回耐久
SwitchBot ロック Ultra22,980円スマホ / 指紋 / 暗証番号 / カードUSB Type-C充電+CR123A予備トリプル給電・静音20dB以下
SADIOT LOCK 216,500円スマホ / ハンズフリーCR123A×2〜4本鍵メーカー製・ハンズフリー自動解錠

1. SESAME 5 Pro(CANDY HOUSE)

販売元CANDY HOUSE
価格(税込)4,480円
取り付け方法両面テープ貼り付け
対応サムターン99%の鍵に対応(公式発表)
主な解錠方法スマホアプリ / Apple Watch / Siri
バッテリーCR123A×2本
特徴ブラシレスモーター・100万回耐久・Matter対応

4,480円という価格帯は、スマートロックの中でも突出した安さです。それでいて、業界唯一のブラシレスモーターを搭載しており、摩耗が少なく100万回の耐久性を誇ります。毎日2回施解錠しても1,370年分に相当する計算で、耐久性の面での妥協はありません。

Wi-Fi連携・Amazon Alexa・Apple HomeKit・Google アシスタント連携を使いたい場合は、別売のHub 3(公式価格3,980円)が必要です。Hub 3を追加すれば外出先からのリモート操作や音声コントロールも可能になります。また、Matter規格に対応しているため、スマートホームエコシステムとの統合もスムーズです。

「まずスマートロックを試してみたい」という方に最もおすすめしやすい製品です(出典:CANDY HOUSE「SESAME 5 Pro」)。

2. SwitchBot ロック Ultra

販売元SwitchBot(Wonderlabs)
価格(税込)22,980円
取り付け方法両面テープ貼り付け
対応サムターン幅広いサムターンに対応(公式確認ツールあり)
主な解錠方法スマホアプリ / 指紋認証 / 暗証番号 / ICカード / Apple Watch
バッテリーUSB Type-C充電(メイン)+CR123A(予備)
特徴トリプル給電・静音20dB以下・解錠速度前世代比78.6%向上

SwitchBot ロック Ultraの最大の特徴は、電池切れリスクをほぼゼロにするトリプル給電システムです。USB Type-C充電をメインとして使いながら、充電できない状況ではCR123A電池に切り替えられます。さらに、外部給電ポートを使ったモバイルバッテリーによる緊急対応も可能です。

解錠速度は前世代比78.6%向上しており、動作時の音も20dB以下の静音設計。指紋認証・暗証番号・ICカードにも対応しており、家族構成や使い方を問わず幅広いシーンで活用できます。価格は22,980円と高めですが、電池交換の手間から解放されることを重視する方には合理的な選択肢です(出典:SwitchBot「SwitchBot ロック Ultra」)。

3. SADIOT LOCK 2(ミネベアミツミ)

販売元ミネベアミツミ株式会社
価格(税込)16,500円
取り付け方法両面テープ貼り付け
対応サムターン主要メーカーの標準サムターンに対応
主な解錠方法スマホアプリ / ハンズフリー自動解錠
バッテリーCR123A×2本(約6ヶ月)または4本(約1年)
特徴鍵メーカーが開発・ハンズフリー自動解錠・長寿命バッテリー

SADIOT LOCK 2を手がけるミネベアミツミは、精密部品メーカーとして物理鍵の製造実績を持つ企業です。鍵の機構を熟知したメーカーが開発したスマートロックという点が、信頼性の根拠になっています。

バッテリーは電池本数によって寿命が変わる設計で、CR123A×2本で約6ヶ月、4本セットに交換すれば約1年の稼働が見込めます。ハンズフリー自動解錠は、スマートフォンを持ったままドアに近づくだけで解錠が完了する機能で、両手がふさがりやすい場面で特に役立ちます。暗証番号・指紋認証を追加したい場合は別売の認証デバイスとの組み合わせが必要です(出典:ミネベアミツミ「SADIOT LOCK シリーズ ラインナップ」)。

賃貸でスマートロックを使うときの注意点3つ

スマートロック自体は便利なデバイスですが、賃貸ならではの落とし穴もあります。製品選びと設置を正しく行っても、運用面で見落としがあると思わぬトラブルに発展します。

賃貸でスマートロックを使う際に注意すべき点は次の3つです。

  1. 電池切れ・オートロックの締め出しに備える
  2. 管理会社・大家への事前相談は必ず行う
  3. 退去時の原状回復でトラブルを防ぐコツ

1. 管理会社・大家への事前相談は必ず行う

法的に問題がなくても、事前に相談しないとトラブルに発展しやすいのが賃貸でのスマートロック導入です。「両面テープ貼り付け型で原状回復できるから問題ない」と自己判断して取り付けた場合、退去時に「許可なく設備を変えた」と指摘されることがあります。

事後報告は管理会社との信頼関係を損ない、その後の交渉を難しくする可能性があります。相談する際に伝えると許可が下りやすくなるポイントは次の2点です。

  • 両面テープ貼り付け型のため工事不要で、退去時に取り外して原状回復できること
  • 既存の物理鍵はそのまま使える仕組みであり、ドアの機能は変わらないこと

万が一断られた場合でも、室内側のサムターンにのみ取り付ける形(ドアの外側からは見えない構造)であれば認められるケースもあります。まず相談してみることを優先してください。

2. 退去時の原状回復でトラブルを防ぐコツ

「両面テープだから安心」と思い込んで適切な手順を踏まずにいると、退去時に費用請求されるリスクが残ります。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定めています(出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」2011年)。

両面テープを無理に剥がすとドア表面の塗装が剥がれ、通常損耗を超える損傷とみなされる可能性があります。剥がす際はドライヤーで温めながら、ゆっくりと丁寧に作業してください。

退去日が近づいてから慌てて剥がそうとすると作業が雑になりがちです。退去予定が決まったら早めに計画的に取り外しを進め、設置前のドア面の状態を写真で記録しておくと、万が一のトラブル時の証拠にもなります。

3. 電池切れ・オートロックの締め出しに備える

電池が突然切れてドアが開かず、鍵屋を呼んで数万円かかったというケースがあります。スマートロック特有のリスクとして、導入前に対策を講じておくことが大切です。

予防策は3つです。

  • 物理鍵は外出時に必ず携帯してください。スマートロックが動かない場面でも、従来の鍵があれば入室できます
  • アプリの電池残量通知はオンに設定を。低残量アラートが届いた時点で交換すれば、電池切れによる締め出しは防げます
  • 予備電池は室内にストックしておくのが鉄則です。通知が届いたらすぐに交換できる体制があれば、慌てずに済みます

オートロックを使う場合は、スマートフォンを部屋に置いたまま外に出ると締め出される可能性があります。外出時は物理鍵とスマートフォンの両方を持つ習慣をつけてください。なお、SwitchBot ロック Ultraのように外部給電ポートを備えた製品では、電池が完全に切れた状態でもモバイルバッテリーを接続することで緊急解錠できます。

製品選びの段階でこの機能の有無を確認しておくと、より安心です。

オーナー・管理会社がスマートロックを導入する3つのメリット

ここまでは入居者が自分でスマートロックを取り付ける前提で解説してきました。しかし、物件オーナーや管理会社がはじめから設備として導入するケースも増えています。スマートロック導入済みの物件であれば、入居者は取り付け作業も管理会社への相談も不要です。

「自分で取り付けるのが面倒」「許可を取る手間を省きたい」という場合は、スマートロック設置済みの物件を条件に入れて探すのも一つの手です。

オーナー・管理会社にとってのメリットは、次の3点に整理できます。

  1. 物件の差別化と入居率アップ
  2. 鍵管理と内見対応の効率化
  3. 入退室履歴によるセキュリティ向上

1. 物件の差別化と入居率アップ

スマートロックの導入率は集合住宅全体ではまだ低い水準にとどまっています。しかし、MM総研の調査では、スマートロックを「導入した物件では入居率の向上に貢献する成長分野」と評価しています(出典:MM総研「集合住宅のデジタルツール導入実態調査」2025年)。導入率が低いということは、今導入すれば周辺物件との差別化要素になりやすいことを意味します。

実際の事例として、管理戸数約13,000戸を持つジョイテックがビットキーのスマートロックを標準採用した際には、「全ての空室において、目標である1ヶ月以内よりも早い2週間〜3週間での成約を達成」という結果が出ています。対象は築18年・家賃5万円台の物件です(出典:ビットキー「管理戸数約13,000戸のジョイテック、ビットキーのスマートロックを標準採用」2026年)。

築年数が経過した物件でも、スマートロックの設置が成約スピードに影響を与えるケースがあることを示す事例です。

2. 鍵管理と内見対応の効率化

スマートロック導入による業務効率化の効果は、大規模な導入事例から明らかになっています。レオパレス21がスマートロックを全国展開した結果、2023年度は鍵に関する業務時間を年間で約14万時間削減しました。さらに2024年の繁忙期には、約5万8,000件の物理鍵の受け渡しが不要になっています(出典:株式会社レオパレス21「スマートロックの導入で繁忙期3ヶ月の鍵受け渡し5万件超を削減」2024年)。

鍵の受け渡しが不要になるだけで、担当スタッフの移動・待機・引き渡し作業がまとめてなくなります。これは管理会社の人件費削減に直結します。

さらに、スマートロックと予約システムを連携させれば、内見受付から入室まで完全にオンラインで完結できます。私たちショウタイム24株式会社が提供する無人内見くんは、スマートロックと連携して24時間365日の無人内見を実現するサービスです。150社以上の導入実績があり、営業担当者が内見に同行する必要がなくなるため、内見対応の工数を大幅に削減できます。

3. 入退室履歴によるセキュリティ向上

スマートロックは解施錠のたびに履歴を記録します。不審な入退室の早期発見やトラブル発生時の証拠確保に活用でき、物理鍵だけの管理体制と比べてセキュリティ面での優位性があります。

合鍵の管理も電子化されるため、入居者の入れ替わり時に物理的な鍵交換をする必要がありません。鍵の電子登録を削除するだけで対応でき、鍵交換費用の削減と紛失リスクの解消を同時に実現できます。入居者の利便性と管理業務の効率化を両立できる仕組みとして、スマートロックの賃貸設備への採用は今後さらに広がっていくと見込まれます。

まとめ

賃貸でのスマートロック導入について、本記事のポイントを3点に整理します。

  • 両面テープ貼り付け型を選べば工事不要。退去時も取り外して原状回復できるため、賃貸物件でも無理なく導入できます
  • サムターンの形状・解錠方法・必要な機能(遠隔操作・オートロックなど)を自分の生活スタイルに合わせて選ぶことが、失敗のない製品選びにつながります
  • 管理会社への事前相談、退去時の丁寧な取り外し、電池切れ対策の3点は、導入後のトラブルを防ぐための基本です

入居者の方はまず自宅のサムターンを確認し、気になる製品の公式サイトにある対応確認ツールで適合をチェックするところから始めてみてください。

大家・管理会社の方で物件管理の効率化を検討されている場合は、私たちショウタイム24株式会社が提供する無人内見くんもあわせてご検討ください。スマートロックと連携して24時間365日の無人内見を実現するサービスで、内見対応の工数削減と成約率向上を両立できます。

鍵の閉め忘れや持ち歩きのストレスは、スマートロック一台で大きく変わります。自分の生活スタイルに合った製品を選んで、賃貸暮らしの鍵まわりをシンプルにしてみてください。