不動産会社のSNS集客で成果を出す近道は、全媒体を手広く運用することではありません。自社のターゲットに合った媒体を1〜2つに絞り、フォロワーを問い合わせにつなげる導線を整えることが反響を伸ばす鍵になります。

不動産会社のSNS運用率はまだ34.8%にとどまり、始めた企業でもフォロワーは増えるのに反響につながらない、という悩みが目立ちます。増やすべきはフォロワー数ではなく問い合わせ件数です。

この記事では、媒体選びから少人数でも回せる運用のコツ、成功事例、注意点までを順にたどりながら、限られた人員でも反響を安定させる進め方を解説します。

内見対応に時間を取られて投稿が後回しになりがちですが、見学のしやすさ自体が問い合わせや成約を左右します。無人内見くんは物件の内見を24時間無人化し、立ち会いや移動に費やしていた時間をSNS運用に振り向けられるだけでなく、無人内見そのものが新たな集客・接点のチャネルとして育ちます。

目次

不動産SNS集客はなぜ必要? ポータル依存から脱却が進む背景

SNSは、費用を抑えながら潜在顧客にリーチできる未開拓の集客チャネルです。理由は2つのデータのギャップにあります。国内のSNS利用率は全年代でLINEが92.9%、Instagramが54.8%、X(旧Twitter)が44.7%、Facebookが27.0%と幅広い世代に浸透しており、不動産の潜在顧客はすでにSNS上にいます(出典:総務省情報通信政策研究所「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」2026年)。

一方で、不動産会社のSNS運用率は34.8%にとどまっています(出典:PR TIMES(株式会社いえらぶGROUP調査)「住まい探しにおけるポータルサイト・SNSの利用状況に関する調査」2024年)。

不動産会社の約3社に1社しか運用していない状況は、裏を返せば競合との差別化チャネルとして使える余地が大きいといえます。ポータルサイトに載る物件情報が届くのは、すでに物件を探している顕在層だけです。SNSなら「いつか引っ越したい」「気軽に物件を眺めたい」という潜在層にも接点を持てるため、集客の入り口を自社で広げられます。

ポータルサイトへの掲載費が重く、脱却したいものの移行に不安を感じる会社もあるでしょう。SNSはポータルサイトを一度にやめる手段ではなく、掲載費を抑えつつ自社集客の受け皿を並行して育てる位置づけで考えると、リスクを抑えて始められます。

不動産SNS集客にはどれを使う? 6つの媒体の特徴と目的別の選び方

成果への最短ルートは、全媒体を網羅的に運用することではなく、自社のターゲット層と発信できるコンテンツ形式に合った1〜2媒体に絞ることです。まずは6媒体の全体像を、主なユーザー層・不動産での用途・コンテンツ形式で整理します。

媒体主なユーザー層不動産での主な用途コンテンツ形式
Instagram10〜30代中心物件のビジュアル訴求写真・リール・ストーリーズ
YouTube幅広い年代ルームツアー・物件解説長尺動画・ショート
TikTok若年層中心潜在層への認知獲得ショート動画
X(旧Twitter)幅広い年代拡散・キャンペーン・速報テキスト・画像
LINE全年代問い合わせ後の追客・予約メッセージ・チャット
Facebook30〜50代中心ターゲティング広告投稿・広告

1. Instagram:写真・リールで物件の魅力を視覚的に訴求

Instagramは不動産会社のSNS利用率が最も高い媒体です。物件は写真や動画で見た瞬間に良し悪しが伝わるため、ビジュアル重視のInstagramと相性が良く、外観や内装の雰囲気をそのまま届けられます。

リールで内装を短い動画にまとめ、ストーリーズで内見の空き状況を告知し、ハッシュタグで地域名や「#賃貸」などから新規の閲覧者を呼び込めます。おしゃれな物件を扱う会社や、写真で世界観を作れる会社に向いています。

2. YouTube:ルームツアー動画で物件の詳細を伝える

YouTubeは幅広い年代に使われており、住まい探しで活用したいSNSとしても注目されています。写真だけでは伝わりにくい間取りの動線や部屋の広がりを、ルームツアー動画なら歩きながら見せられるため、内見前の検討材料として機能します。

動画はGoogle検索の結果にも表示されるため、「地域名 賃貸 内見」のような検索から見つけてもらえるSEO効果も期待できます。YouTube Shortsで一部を切り出せば、長尺を見る前の入り口にもなります。腰を据えて物件の詳細を伝えたい会社に向いています。

3. TikTok:ショート動画で潜在層にリーチする

TikTokの特徴は、おすすめ表示のアルゴリズムでフォロワー以外の潜在層にも動画が届く点です。フォロワーが少ない開設初期でも、内容次第で多くの人に見てもらえるため、新規の認知獲得に強い媒体です。

15〜60秒ほどの短い尺で、物件のいちばんの見どころを凝縮して見せる使い方が向いています。まだ知名度がなく、これから認知を広げたい会社に適しています。

4. X(旧Twitter):拡散力とキャンペーンで認知を広げる

Xはリポスト(リツイート)による拡散力の高さが強みです。良い投稿がフォロワーのフォロワーへと連鎖的に広がるため、フォロー&リポストで応募するキャンペーン施策と相性が良く、認知拡大につなげられます。

テキスト中心でリアルタイム性が高いため、新着の空室速報やキャンペーン告知をすばやく届ける使い方にも適しています。話題づくりで認知を一気に広げたい会社に向いています。

5. LINE:公式アカウントで見込み客との接点を維持する

ここまでの4媒体が新規の認知獲得に強いのに対し、LINEは役割が異なります。LINE公式アカウントは一般にメールより開封率が高いとされ、友だち登録した見込み客に確実にメッセージを届けられるため、集客そのものより問い合わせ後の追客に強いツールです。

他の媒体で興味を持った人を友だち追加に誘導し、条件に合う物件をメッセージで提案して、チャットで内見予約まで進めるという流れを作れます。獲得した見込み客を取りこぼさず、次の一歩へつなぐ受け皿として使います。

6. Facebook:ターゲティング広告で地域の見込み客にアプローチ

Facebookは30〜50代の利用率が高く、実名制で登録情報の精度が高いため、年齢や地域を絞った広告配信の精度に優れます。住宅の購入を検討する年齢層に、エリアを限定して広告を届けたい場合に有効です。

ただしオーガニック投稿(広告以外の通常投稿)の拡散力は低いため、Facebookで成果を出すなら広告運用が前提になります。広告予算を確保でき、購入検討層をピンポイントで狙いたい会社に向いています。

自社の目的・規模に合わせた媒体の選び方

6媒体のどれを選ぶかは、目的から逆算すると決めやすくなります。物件の視覚的な訴求で認知を広げたいならInstagramやTikTok、詳しい説明が必要ならYouTube、拡散やキャンペーンならX、問い合わせ後の追客ならLINE、という対応が基本の指針です。

目的推奨媒体主なコンテンツ形式
認知拡大Instagram・TikTok写真・ショート動画
物件の詳細訴求YouTubeルームツアー動画
拡散・キャンペーンX(旧Twitter)テキスト・画像
問い合わせ後の追客LINEメッセージ・チャット

そのうえで規模を踏まえます。営業兼務の少人数体制では全媒体を並行運用せず、自社のターゲット層が最も多い1〜2媒体に絞るのが成果への近道です。手を広げるほど1媒体あたりの投稿密度が下がり、どれも中途半端になるためです。

複数名で回せるなら、認知獲得のInstagramと追客のLINEを組み合わせる2媒体運用が現実的でしょう。

不動産SNSでフォロワーを反響に変えるには? 4つの実践ポイント

フォロワーが増えても問い合わせが1件も来ない、という状態はよく起こります。原因は、成果指標をフォロワー数に置いてしまっていることです。追うべきは問い合わせ件数であり、そのためにコンテンツ設計・継続の仕組み・導線設計・効果測定の4つを整えると、フォロワーを反響につなげられます。

1. 投稿コンテンツは「8割お役立ち・2割物件紹介」で設計する

物件情報ばかりを投稿すると広告アカウントと見なされ、フォロワーが離れてエンゲージメントも下がります。これを防ぐのが、投稿の8割を読者に有益なお役立ちコンテンツにし、物件紹介を2割に抑える80:20の考え方です。宣伝色を薄めることで、フォロワーが自然に見続けてくれます。

8割のお役立ちコンテンツには、次のような内容が使えます。

  • 地域のグルメ店やスーパーなど暮らしに役立つ周辺情報
  • 引っ越し時の手続きや契約前に確認すべきことのガイド
  • スタッフの日常や物件探しの裏側といった人柄が伝わる投稿
  • 限られた部屋を広く見せるインテリアや収納の提案

これらを4〜5カテゴリに分類してストックしておくと、投稿のたびにネタを一から考えずに済み、ネタ切れを防げます。

2. 少人数でも途切れない投稿体制の作り方

営業業務が忙しく、投稿が3日と続かないという状態は、気合いではなく仕組みで解決します。週2〜3回の投稿を目安に、曜日ごとに投稿テーマをカレンダーへ固定してください。「月曜は周辺情報、木曜は物件紹介」のように決めておくと、その日に何を出すか迷わなくなります。

作業自体も型化します。Canvaなどのテンプレートでデザインのフォーマットをそろえれば、写真とテキストを差し替えるだけで投稿を作れます。撮影は内見や物件訪問のタイミングにまとめて行い、一度に複数投稿分の素材を確保しておくと、日々の負担が減ります。

それでも投稿作業に充てる時間が取れないなら、内見対応を無人化して空いた時間をSNS運用に回す方法があります。無人内見くんは内見をオンライン予約とスマートロックで24時間無人化できるため、立ち会いや移動、待機にかけていた時間をそのまま削減できます。

投稿の頻度が落ちてきたときは、運用代行への切り替えも選択肢の一つです。無理に自社だけで抱え込まず、続けられる体制を優先してください。

3. プロフィールと導線を整えて問い合わせにつなげる

フォロワーが増えても反響にならない最大の原因は、プロフィールから自社サイトや問い合わせフォームへの導線が整備されていないことです。投稿に興味を持った人が「問い合わせたい」と思っても、次にどこへ進めばよいか分からなければ、そこで離脱してしまいます。

導線は次の順で整えます。

  1. プロフィール欄に自社サイトや問い合わせフォームへのリンクを設置する
  2. ストーリーズのハイライトに「問い合わせ方法」をまとめ、いつでも見られるようにする
  3. 物件を紹介する投稿の文末に「詳細はプロフィールのリンクから」と誘導文を入れる

受け皿となる自社サイトの問い合わせフォームや物件ページが整っていることが前提です。せっかく誘導しても、遷移先が見づらかったり情報が古かったりすると、やはり離脱につながります。

4. エンゲージメント率を軸にPDCAを回す

成果はフォロワー数ではなく、エンゲージメント率・プロフィール遷移数・サイト流入数・問い合わせ件数という漏斗で測定します。どの段階で離脱しているかを見ると、改善すべき箇所が具体的に分かります。

測定には各SNSの分析機能とGoogle Analyticsを併用します。Instagramインサイトなどで投稿ごとの反応やプロフィール遷移数を確認し、Google Analyticsでサイト側の流入と問い合わせを追えば、SNSから反響までを一気通貫で把握できます。数値の変化を見ながら投稿内容や導線を調整し、改善を繰り返してください。

不動産会社のSNS活用 成功事例4選

成功事例に共通するのは、各プラットフォームの特性を活かしたコンテンツと一貫した世界観です。ここではInstagram・X・YouTube・TikTokそれぞれで成果を出している4つのアカウントを紹介します。

1. goodroom(Instagram):リノベ物件の世界観でフォロワー15万人

goodroomは、リノベーションやデザイナーズ賃貸に特化したおしゃれな世界観をInstagramで統一し、約15.2万人のフォロワーを獲得しています。投稿の写真のトーンや雰囲気をそろえることで、フィード全体が一つのブランドとして機能している点が差別化要因です。

リールやストーリーズも活用してフォロワーとの接点を増やし、物件の魅力を静止画と動画の両面から伝えています。写真の世界観で勝負する戦略の好例です。

2. アットホーム(X):キャンペーン施策で応募30万件

不動産情報サイトを運営するアットホームは、Xの公式アカウントで不動産情報や暮らしの情報を発信しています。注目すべきは、プレゼントキャンペーンで応募総数30万件を達成した施策です。

フォロー&リポストで応募する形式にしたことで、応募が拡散を生み、フォロワー獲得と認知拡大の両方に寄与しました。Xの拡散力をキャンペーン設計に組み込んだ事例です。

3. ゆっくり不動産(YouTube):エンタメ内見動画で登録者75万人

ゆっくり不動産は、音声合成「ゆっくりボイス」を活用したエンタメ性のある物件内見動画で、YouTubeチャンネル登録者75万人以上を集めています。淡々とした物件紹介ではなく、見ていて楽しい内見動画に仕立てた点が差別化要因です。

変わった間取りや個性的な物件を選んで紹介するコンテンツ戦略が、住まいを探している人だけでなく、動画そのものを楽しむ幅広いユーザーの興味を引いています。

4. Simple NAIKEN(TikTok):大阪密着のショート動画でフォロワー14万人

Simple NAIKENは、大阪エリアに特化したおしゃれ物件のショート動画をTikTokで配信し、フォロワー14万200人を獲得しています。エリアと物件のタイプを絞り込むことで、狙った層に響くアカウントになっています。

20秒前後の短尺で玄関から歩いて部屋を紹介するスタイルは、内見体験をそのまま届けるコンテンツとして機能し、TikTokの視覚的な媒体特性とかみ合っています。

不動産SNS運用で注意すべきことは? 炎上リスクと広告規制への対策

SNSは集客力が高い反面、リスクもあります。特に不動産の広告は法規制の対象であり、知識不足のまま運用すると無自覚のうちに違反する可能性があります。炎上防止と法規制の遵守という2つの観点から対策を整理します。

不適切な投稿による炎上を防ぐための社内ルール

従業員の不適切な投稿が炎上すると、社会的信用と集客の両方に影響が出ます。不動産業界では、契約書や物件写真に顧客の個人情報が写り込んだまま投稿してしまう、著名人の新居の仲介をSNSで話題にしてしまう、といったパターンがあります。個人の軽い気持ちの投稿が会社全体の問題に発展します。

防ぐには、投稿前に第三者が内容を確認するチェック体制と、何を投稿してよいかを定めたSNS運用ガイドラインの整備が必要です。ガイドラインで顧客情報や物件の権利関係の扱いを明文化しておけば、担当者が判断に迷いません。

万が一炎上した場合は、事実確認を最優先にしてください。憶測で反応せず、何が起きたかを正確に把握したうえで、速やかに謝罪方針を決めて公表するという対応フローを事前に決めておくと、被害の拡大を抑えられます。

不動産SNS広告で違反しやすい法規制と対策

SNS上の不動産広告が守るべき法規制は、業界全体でも徹底されていません。公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会(以下、公取協)の調査では、Instagram上の不動産広告436件のうち、必要な表示事項を漏れなく掲載していた物件は1件もありませんでした(出典:R.E.port(公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会調査)「SNSを利用した不動産広告の実態調査」2026年)。これは一部の会社の問題ではなく、業界全体で認識が追いついていないことを示しています。

SNS投稿であっても、物件を広告する以上、取引態様(売主・仲介などの別)や宅建業者の免許証番号は、宅地建物取引業法および不動産の表示に関する公正競争規約上、表示が求められる事項です。違反すると指導や処分の対象になります。表示すべき主な項目は次のとおりです。

  • 取引態様(売主・貸主・代理・仲介の別)
  • 宅地建物取引業者の免許証番号
  • 物件の所在地
  • 賃料・価格などの取引条件

SNSで特に違反しやすいのは、次のようなパターンです。

  • 「詳細はDMで」と誘導し、投稿本文に必要な表示事項を載せない
  • 「完璧」「絶対」「日本一」など、不動産公正競争規約が制限する断定的・最上級の用語を使う
  • 根拠のない値引き前価格と現在価格を並べる二重価格表示

これらを防ぐには、投稿前のチェックリストを用意しておくと実用的です。取引態様と免許証番号を記載したか、誇大な表現を使っていないか、価格や条件が正確かを毎回確認する運用にすれば、無自覚の違反を減らせます。

まとめ

不動産SNS集客で反響を伸ばす条件は、フォロワー数を追うことではありません。自社のターゲットに合った1〜2媒体に絞り、フォロワーを問い合わせにつなげる導線と少人数でも回せる運用の仕組みを整え、法規制を守りながら効果測定と改善を繰り返すことが、安定した反響を継続的に生み出す近道になります。

限られた人員と予算で始めるなら、まず自社のターゲットを決め、目的に合った1媒体からスタートしてください。

目的推奨媒体
認知拡大Instagram・TikTok
物件の詳細訴求YouTube
拡散・キャンペーンX(旧Twitter)
問い合わせ後の追客LINE

SNS運用にリソースを割くには、営業業務の効率化が欠かせません。無人内見くんは内見業務を24時間無人化し、立ち会いや移動に取られていた時間をSNS運用へと変えられるうえに、営業に気兼ねせず自分のペースで見たいという体験を解放することで、これまで取りこぼしていた反響を新たに拾い直せます。看板からその場で予約が入るような、無人内見自体が集客チャネルになる動きも生まれています。まずは自社の内見体制を見直すところから、集客の仕組みづくりを始めてみてください。