【不動産業界の生き残り戦略】顧客に選ばれるブランドを築く!不動産ブランディング徹底解説

近年、不動産業界の競争はますます激化しており、2023年度末、全国の宅地建物取引業者は13万538業者と、10年連続で増加しています。
このような状況下で、顧客に「選ばれる」不動産会社になるためには、明確な「ブランド」を確立することが重要です。
この記事では、不動産ブランディングの基本や具体的な戦略について、事例を取り上げつつ紹介します。
なぜ今、不動産会社にブランディングが必要なのか
ブランディングという言葉について「何となく知っているけど、具体的にどんなことをするのか分からない。」という方も多いのではないでしょうか。
まずはブランディングとは何か、なぜブランディングが必要なのかについて、解説します。
大手だけじゃない!中小企業でもブランディングが必要な理由
先述したように、全国には13万以上もの宅地建物取引業者が存在し、顧客の取り合いが激化しています。
また、不動産会社は差別化が難しい業界と言われており、特に一般媒介契約の場合は、複数の不動産会社で同じ物件を取り扱うため、物件そのもので差別化を図ることはできません。
そんな中、顧客に自社を選んでもらうためにはどうすればよいのでしょうか。
不動産での取引は高額な費用がかかることもあるため、顧客は不動産選びをする際、知名度の高い会社や信頼のできる会社を意識して選ぶ傾向があります。
大切な自分の家を借りる、もしくは購入するときに、全く見たことがなくホームページも質素な不動産会社と、イメージキャラクターが浸透していて、一度でも目にしたことのある不動産会社では、多くの人が後者の不動産会社を選択するでしょう。
つまり顧客が不動産について考えたとき、自社の会社名やロゴ、イメージキャラクターなど何かしらの情報が頭に思い浮かぶようにしないと、検討の選択肢にすら入らなくなってしまうのです。
「ブランディングは一部の大手企業が行うもの」
そう考えている方も多いかもしれません。しかし情報過多の現代において、真っ先に会社名が頭に浮かんでくるくらいにブランディングしなければ、ほとんどの中小不動産会社が大手に勝つことはできません。
多くの不動産会社の中から声をかけてもらうために、ブランディングは重要な戦略となっているのです。
ブランディングとは「企業を認知させること」
ではブランディングとは一体何なのでしょうか? ブランディングは、会社としての「ブランド」を確立するために必要なマーケティング活動のことです。
その目的は、様々な手法を使って顧客に「企業を認知させること」にあります。
例えば、
- カーネル・サンダースといったらケンタッキー
- 黄色と赤の色の組み合わせを見るとマクドナルドを思い出す
- iPhoneといったらリンゴのロゴ
といったように特定のキーワードやシンボルと企業を結びつけ、顧客に明確なイメージを持ってもらうことが、ブランディングの重要な要素です。
ブランディングとマーケティングの違い
ブランディングとマーケティングは、どちらも企業の価値やイメージを向上させるための活動ですが、目的に違いがあります。
ブランディングは、企業や商品の価値を高め、顧客のロイヤリティを高めることを目的としています。一方でマーケティングは、顧客との取引を促進したり、販売の増加を目的としています。ブランディングは、マーケティングを成功させるための土台となる活動といえます。

不動産ブランディングで得られる5つの効果
ブランディングの必要性について解説しましたが、不動産会社がブランディングに取り組むことで、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。期待できる効果について、紹介します。
安定した収益の確保
ブランド力の高い企業はマーケットにファンを獲得し、売り上げの安定を図りやすくなります。
たとえ他社で似たような商品やサービスがあっても、ブランドへの信頼と知名度があれば、自社を選んでくれる可能性が高くなるでしょう。
広告宣伝費の削減
ファンになってくれた顧客が、SNSなどで情報を拡散することで、さらにブランドの認知度や知名度が高まり、新規顧客の獲得にも繋がります。
ファンが自発的に広告してくれることで企業の広告宣伝コストを削減し、効率よく広告発信ができます。
優秀な人材の獲得
ブランディングは顧客の獲得だけでなく、優秀な人材の獲得にも役立ちます。
魅力的なブランドイメージは求職者にとっても「この会社で働いてみたい」と思うきっかけになるのです。
採用ブランディングで入社した人材は、自社への帰属意識やモチベーションが高く、企業の成長に貢献してくれる可能性が高いと考えられます。
マーケティング活動の基盤強化
一貫したブランドイメージが浸透していれば、ブランドの世界観に沿ったコンテンツ制作も容易になるでしょう。
その結果、SNS広告やキャンペーンの反響が大きくなる可能性があります。このように、明確なブランドイメージが確立されれば、他のマーケティング施策も効果的に展開できるようになります。
非対面コミュニケーションの強化
デジタル化が発展し、いまほとんどの顧客がスマートフォンを所有しています。手軽にインターネットでコミュニケーションを取ることができるようになり、非対面でのコミュニケーションの重要性が高まっていますが、ブランディングはこのような状況下で顧客とのつながりを強化する役割も担っています。
たとえばInstagramでの魅力的な物件紹介やバーチャルツアーなど、SNSを活用したブランド発信を行うと、対面でなくとも企業の存在感や特徴を効果的にアピールすることができます。

【事例あり】不動産ブランディングを成功させるための具体的な戦略紹介!
では、具体的にどのような戦略で不動産ブランディングを進めていけば良いのでしょうか?ここでは、重要な要素をいくつかご紹介します。
自社の強みを明確にする
まず最初に、競合他社にはない「自社ならではの強み」を徹底的に洗い出す必要があります。他社と差別化できる独自の強みを見つけることが、顧客に「なぜあなたから買うべきなのか」という明確な理由を与える第一歩となります。
地域密着型
不動産業界では、地域との信頼関係が重要です。
特定の地域に特化した深い知識やネットワークを発信したり、地域イベントへ積極的に参加したりして地域住民とのコミュニケーションを強化している企業もあるのではないでしょうか。
このような地域に根ざした活動は、信頼されるブランドとしての地位を確立するとともに、自社の強みの一つといえます。
専門性
デザイナーズ物件、ペット可物件など特定の物件タイプや、初めての一人暮らし、ファミリー層など特定の顧客層に特化した接客を得意とする場合、そのような専門性を強みとしてアピールすることもできます。
ほかにも売却専門といった特定のサービスに関する強みを強調するのもおすすめです。
実績
創業からの年数や取引実績、顧客満足度など信頼性を裏付ける具体的な数字や事例をアピールすることも効果的です。
独自のサービス
引っ越しサポート、リフォーム提案、ライフプランニングの提案など他社にはない、付加価値の高いサービスが強みという場合もあります。
たとえば、東京恵比寿にある誠不動産では「完全紹介制」で不動産仲介業を行うという独自のビジネスモデルで差別化を図っています。
このように、会社の方針やスタンスがブランディング要素になることもあります。
スタッフの魅力
経験豊富なスタッフ、専門資格を持つスタッフを際立たせたり、地域で名前の知られている店長を「名物店長」として取り上げたりして個性を打ち出すのも有効です。
テクノロジー活用
VRを活用したオンライン内見やAIを活用した物件提案など、最新技術を導入している企業もあるかもしれません。
そういった企業の場合、「最新技術で物件探しをサポート」といったコンセプトを打ち出すとよいでしょう。
ターゲット顧客を明確にする
次に、どのような顧客層にアプローチしたいのかを具体的に定める必要があります。
年齢、性別、家族構成、ライフスタイル、価値観、住まいのニーズなどを詳細に分析し、ペルソナ(自社の商品やサービスを利用する典型的なユーザー像)を設定すると、より具体的なブランディング戦略を立てやすくなります。
ターゲット顧客のニーズや悩みを理解することで、顧客に響く独自の価値提案が可能になります。
たとえば、「ペット可物件を探している若い夫婦」をターゲットにするなら、ペットとの暮らしに特化した情報発信やサービスが重要になるでしょう。
顧客のニーズに合わせたメッセージを発信することでブランドの訴求力が高まり、不動産会社としての信頼にも繋がります。
ブランドコンセプトを確立する
「どのような価値を顧客に提供したいのか」「どのような印象を持ってもらいたいのか」といった、ブランドの中核となる考え方(ブランドコンセプト)を明確にしましょう。
ブランドコンセプトは「スタッフ」「サービス」「物件」のどの要素を重視するかによって変わってきます。
スタッフの魅力
親切丁寧な対応や専門知識の豊富さ、地域への深い愛情などをアピールすることで、スタッフの魅力を前面に出すことができます。
サービスの質
顧客のニーズに合わせたきめ細やかなサポートやアフターフォローの充実、各種手続きの代行など、質の高い顧客体験を提供することで、他社と差別化することができます。
物件の独自性
デザイン性の高い物件、環境に配慮した物件、特定のライフスタイルに合った物件などを打ち出すことで、物件の独自性を強調します。
一貫性のあるブランドイメージを構築する
ブランドコンセプトに基づき、ロゴ、テーマカラー、フォント、キャッチフレーズなど、ブランドを象徴する要素を統一し、一貫性のあるビジュアルブランディングを行います。
たとえば、注文住宅専門の不動産会社であれば、「注文住宅だけやってます」のような分かりやすいキャッチフレーズと、青色のような印象的なテーマカラーを看板、ウェブサイト、名刺などに一貫して使用することで、視覚的な認知度を高めることができます。

デジタルマーケティングを活用する
近年、オンラインでのブランディングがますます重要になっています。
そのため、デジタルマーケティングはブランディングに不可欠な要素といえるでしょう。具体的なデジタルマーケティングツールと活用法について、紹介します。
ウェブサイトの活用
会社の顔となるウェブサイトは、ブランドイメージを体現する重要なツールです。自社の強みやブランドコンセプトを明確に打ち出し、ターゲット顧客に有益な情報を提供しましょう。SEO対策を施し、検索上位表示を目指すことも重要です。
SNSの活用:令和のSNS活用はリール動画が不可欠!
Instagramで魅力的な物件写真や動画を投稿し、視覚的にアピールしたり、X (旧Twitter) で最新情報やキャンペーン情報をリアルタイムに発信しましょう。
YouTube で物件のルームツアー動画や顧客の声を発信したり、 LINE公式アカウントで個別相談や情報提供を行っている企業もあります。ターゲットによって、複数のSNSを効果的に連携させることも重要です。
発信する際のポイントとしては、スタッフの日常を紹介して親近感を与えたり、地域密着型の投稿など独自性を出すことを意識しましょう。
実は今、SNSは動画が主体で、フィード投稿をしても伸びづらい時代となっています。さらに企業アカウントにありがちなサービスの紹介動画はほとんど興味を持たれません。そのため「広告っぽさ」がない「中の人が見える」動画が重要です。
岐阜県の大丸開発では、InstagramでスタッフがSNSで話題の問題にチャレンジするリールを投稿し、2025年4月時点で20万回を超える再生回数となっています。
また「岐阜県で多い苗字ランキング」など地域に特化した情報もリールで発信しており、このリールは6.3万回再生されています。
不動産会社を決めるとき、どんな人に接客されるのか気になる顧客は多いはずです。
大丸開発はスタッフの日常や地域の情報を掲載することで、見込み顧客に親しみやすさや信頼感を与えることに成功しています。このように自社でSNSをやる場合も、独自の強みがどのように興味を持ってもらえるかが重要です。

顧客体験の向上を追求する
親切丁寧な対応はもちろんのこと、顧客のニーズを深く理解し、一人ひとりに合わせたパーソナルなサポートを提供することが、顧客満足度を高めるとともに、ブランドへの信頼感に繋がります。
「質の高い接客」と「きめ細やかなアフターフォロー」を徹底することで、顧客からの紹介を生み出し、新規顧客の獲得もできるかもしれません。
ストーリーテリングを活用する
物件の背景にあるストーリーや、その物件に住むことでどのようなライフスタイルが実現できるかを具体的に伝えることで、顧客の感情に訴えかけ、共感を呼び起こします。
単なる物件情報だけでなく、「どのような想いでこの物件が生まれたのか」「どのような暮らしがここで待っているのか」といった物語を語ることで、物件や会社への愛着を育むことができます。
社長の個性を活かす
社長のキャラクターを前面に出すことも、他社との差別化につながる可能性があります。人柄や理念を発信することで、共感を得やすくなります。ただし、これはイレギュラーな手法でもあるため、慎重に進める必要があります。
根気強さが必要!不動産ブランディングの注意点
ブランディングについて、具体的な戦略について紹介しましたが、ブランディングは一度の施策で完結するものではありません。不動産ブランディングを行う際の、注意点についても紹介します。
継続的な発信
ブランディングは短期的な取り組みでは、全く効果が出ません。
あくまで目安ですが、一般的にブランディングの効果が出始めるまでの期間は約6ヶ月から1年と言われています。
つまり「一度やってみて終わり」だとただコストだけが消化され、社内にブランディングには価値がないという経験だけが残ってしまいます。 よくみられるのが、社内の担当者がとりあえず試験的にブランディングの施策をしてみるというケースがあり、結局結果が出ず失敗とみなされてしまいます。
見過ごされがちですが、重要なのはブランディングの取り組み開始有無よりも、さらにブランディングの重要性をそもそも「経営層」などが理解し、中長期で取り組むという合意が必要で、つまり「社内調整」が必要となります。
「やるなら、1年続ける!」というような中長期的な覚悟が必要となります。
顧客とのコミュニケーション
一方的な情報発信だけでなく、顧客の声に耳を傾け、積極的にコミュニケーションを図りましょう。具体的には、SNSで質問に迅速に回答したり、アンケートでフィードバックを集めたりします。
顧客のニーズを理解できるため、サービスの改善に繋がるだけでなく、顧客との関係を深め、ブランドへの信頼と親近感を高めることができます。
効果測定
ウェブサイトやSNSのアクセス状況、顧客データを分析し、ターゲット層に合わせた情報発信や広告展開を行いましょう。ブランディング活動の効果を定期的に測定し、改善を重ねていくことが重要です。
不動産ブランディングは、単なる広告戦略ではなく、顧客との長期的な信頼関係を築き、選ばれる不動産会社になるための重要な経営戦略です。「ブランディングは大手企業がするもの」という時代は終わりました。
まとめ
企業の強みや個性を活かした独自のブランドを構築し、競争の激しい不動産業界で確固たる地位を築いていくことが、生き残るために必要なプロセスといえるでしょう。
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