【株式会社敷島住宅】確度の薄い顧客から成約が生まれる。人手不足の中、無人内見を上手に使った営業活動!
株式会社敷島住宅営業本部長 兼 京都支店長 中本智也さん

株式会社敷島住宅営業本部長 兼 京都支店長 中本智也さん
「無人内見くん」を導入いただいている企業にサービス導入に至った経緯や、導入の効果をインタビューさせていただきました。
今回は、株式会社敷島住宅(守口市)営業本部長 兼 京都支店長の中本智也さんに話を聞きました。
ポイント
導入情報 ※2024年10月時点
株式会社敷島住宅は、1960年の創業以来、60年以上にわたり不動産事業を展開している老舗不動産会社です。本社を大阪府守口市に置き、京都府、滋賀県を中心に事業を展開しています。同社の強みは、土地の仕入れから販売、アフターフォローまでを一貫体制で提供していること。単に住宅を販売するだけでなく、地域に根ざした「まちづくり」を通じて、顧客の生活全般をサポートしています。新築住宅の販売にとどまらず、リフォーム、買取再販、介護事業など、顧客のライフステージに合わせた幅広いサービスを提供しています。
多忙な営業現場。案内業務に課題
サービスを導入する前に、どのような課題を感じていましたか?
中本 本部長:前期の話になりますが、他の支店に応援などに人員を割かれてしまい、京都支店の営業担当者が3人しかいなかったんです。私の他にベテラン1人と新人2人しかいませんでした。そういったなかで、年間で55件を販売するという目標があり、非常に厳しい状況で、何かしないといけないという課題が見えてたんです。
具体的にどのような業務で人手不足を感じていましたか?
中本 本部長:やっぱり物件案内の業務ですね。特に土日の来場が多いんですけど、その時に十分な対応ができない。加えて、営業範囲も広がってきてるんです。 京都支店であっても、大阪府内の遠方の物件まで案内する。そうなると、1日がかりになってしまい、他の業務に支障が出てきます。不動産業界全体で人材不足が問題になっていますし、即戦力をすぐに見つけるのは難しいという状況でした。
「無人内見くん」のサービスを知ったきっかけを教えてください。
中本 本部長:建材商社からの紹介があり、説明を聞かせてもらい、人件費も削減できるしいいじゃないかということで、ちょっとお試しで始めたことがきっかけでした。
無人内見の導入に際して、社内での反応はいかがでしたか?
中本 本部長:当社自体が新しいことには寛容で、どんどんやっていきなさいっていう社風なんです。すんなりと導入することができました。
導入にあたって、懸念点はありましたか?
中本 本部長:物件が荒らされたりとか、ものがなくなったりといった心配はあったんですが、実際にはそういうことは起こっていません。内見予約するためには運転免許証を確認するシステムがあるので、ある程度の抑止力にはなってると思います。

1年で2件成約。成約率5%でも満足な理由
実際に導入されてみて、どのような効果がありましたか?
中本 本部長:2023年8月から2024年の9月までの前期の数字を見てみると、合計で40件の無人内見があり、そのうち2件が成約になっています。
一見すると成約率5%は低いかもしれませんが、通常の物件案内とは違った顧客が成約に至っていると感じています。購買意識の高い顧客、つまり前向きな方というのは、普通に来場予約をして営業担当の話を聞きたいと思っています。そういった方は当然確度が高いです。
一方で、無人内見を使われる方はどちらかというと「まだそこまではいいわ」「自分たちでちょっと見てみる」ぐらいの、少し住宅に興味が出始めたぐらいの方たちが、利用されているように感じます。
また、営業担当がいると、じっくりと物件を見られないと感じている方も一定数いらっしゃるでしょう。
そんなに前向きではない、まだそこまでではない方たちが利用されるなかで、そのなかの5%から成約が生まれているのであれば決して低い数字ではないと感じています。今のところ、導入して、満足のいく結果に至っていると思っています。
ありがとうございます。無人内見システムの導入で、予想外の効果はありましたか?
中本 本部長:もう契約が終わっていて、これから内装を決めたりする方が無人内見で物件を見に来られるケースが多いことも分かりました。わざわざ営業担当に案内してもらうのは気を遣うようで、そういったケースでも無人内見は便利に活用されています。
また、実は他社で契約しており参考程度に見たいだけの方なども、無人内見で見てもらえるので、営業担当の手間は省けていますね。
無人内見システムの導入後、営業スタッフの業務にどのような変化がありましたか?
中本 本部長:営業の負担が減ったのは大きいですね。確度の薄いお客様の反響などを無人内見によって”前捌き”してもらっているような感覚です。
特に土日に無駄な案内業務が減ったので、その分を他の業務に回せるようになりました。また、無人内見を利用したお客様が、来場予約を入れてくる場合があるんですが、そういうお客様は購入意欲が高いことが多いんです。だから、営業としてもそういうお客様には特に力を入れて対応できるようになりました。
効果を実感いただき嬉しいです。当社に対して何か要望はありますか?
中本 本部長:こうしてほしいっていうのは特にないですね。ただ、無人内見いただいたお客様を、そこからどのように確度を上げていくかが当社の新たな課題になっています。
また、完全な無人では、お客様の疑問にその場で答えられないのが課題だと感じています。ARや音声ガイドがあれば、ある程度その課題は解決できるかもしれません。ただ、コストの問題もありますからね。費用対効果をしっかり見極める必要があると感じています。
あとは、当社が長期休暇中などに、無人で見学されたお客様が帰られた後、電気の消し忘れとかなどがあった際に、どう対応すればいいかなどは、少しオペレーションを考えなければなりませんね。

顧客の受け皿になるためにIT・DX活用は重要
不動産業界全体に感じる課題や問題点はありますか?
中本 本部長:不動産会社もどのようにDX化していくかが課題ですね。当社でも「無人内見くん」をはじめ、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)を導入しています。
ただ、新しいシステムを導入しても、結局使いこなすのが難しい。それに、若手と年配の社員で、ITリテラシーに大きな差があるんです。若手はどんどん新しいツールを使いこなそうとするんですが、ベテラン社員はなかなかついていけない。そのギャップを埋めるのが難しいと感じています。
昔は、お客様との関係性を重視して、時間をかけてじっくり信頼関係を築いていく営業スタイルが主流でした。でも今の若い営業マンは、効率を重視するんです。例えば、SNSを活用して幅広く情報発信したり、デジタルツールを使って素早く見積もりを出したり。そういう意味では、無人内見システムみたいな新しい技術との相性はいいんですよ。
変化のある不動産業界において、敷島住宅の今後の展望について教えてください。
中本 本部長:当社は地元に密着したファーストコールカンパニーになることを目指しています。住宅や住まいで何かお困りごとがあった際に、真っ先に思い出して声を掛けていただけるような、「とりあえず敷島住宅に連絡してみよう」という存在です。
当社は土地の仕入れから、アフターサービスまでを一貫して提供しています。それだけでなく、リフォームはもちろん、注文住宅事業や売買、介護事業も展開しています。
お客様と長くお付き合いしていくなかで、変わっていくライフステージにあわせてとりあえず、敷島に連絡すれば、なんとかしてくれるとういう受け皿になりたいと思っています。
それにはまず、事業の幅を広げていくことですね。今、買取再販などの事業を徐々に強化しています。例えば空き家問題への一環として、自治体や行政と連携して空き家バンクにも登録しています。
また、地域貢献の観点から、新しい取り組みも始めています。例えば、大阪の交野市で分譲地の一角に有料老人ホームを作りました。その横にはクリニックを誘致する計画で、一帯のまちづくりを進めています。
「無人内見くん」を含めたITツールは、貴社のビジョンにどのように貢献すると考えていますか?
中本 本部長:ITツールの活用は、これからますます重要になってくると考えています。例えば、無人内見は単に人手不足を補うだけでなく、お客様との新しい接点を作り出しています。
ただ、そういった新しい取り組みをする上で大切なのは、テクノロジーと人間味のバランスだと思います。どんなに技術が発達しても、最終的には人と人とのつながりが大切です。だからこそ、無人内見のような新しい技術も、あくまでも人間的なサービスを補完するものとして活用していきたいですね。
これからの不動産業は、単に物件を売買するだけでなく、お客様の人生に寄り添うパートナーになることが求められると思います。そのためには、従来の不動産業の枠にとらわれず、様々なサービスを提供していく必要があります。そのなかで、ITツールはより効率的で付加価値の高いサービスを提供するための重要な要素になると考えています。