AI研修に使える助成金。中小企業75%・大企業60%の違いと、実際にいくらになるのか

「AIの研修に助成金は使えるのか」「結局いくらになるのか」。お問い合わせでいちばん多いご質問です。2026年8月3日に変わった決まりも含めて、要件と計算の仕方をできるだけ平たく整理しました。
使えるのは「人材開発支援助成金」
AIの研修で主に使われるのは、厚生労働省の人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」です。会社が従業員に計画的な訓練を受けさせたとき、訓練の経費と、訓練中の賃金の一部が助成されます。このコースは、令和4年度から8年度(2027年3月末)までの期間限定の制度として作られています。
申請の手続きは、社会保険労務士の業務です。研修会社が代わりに申請することはできません。AI教習所では、ご希望の場合に社会保険労務士をご紹介しています(社労士費用は別途)。
主な要件
- 1つのコースが10時間以上であること(2時間のセミナーは対象になりません)
- 受講する方が雇用保険に加入している従業員であること(社長や役員は原則対象外)
- 計画の届出を、訓練を始める日の6か月前から1か月前までに出すこと
- 訓練の終了後、期限内に支給申請をすること
とくに「1か月前までの届出」は見落とされがちです。助成金を使う場合、申し込んですぐ始めることはできず、開始まで1か月以上かかります。年度内に受けたい場合は、逆算して早めに動く必要があります。また、費用はいったん全額お支払いいただき、助成金はあとから入ります。
2026年8月3日から、対象になる研修が変わりました
厚生労働省は、2026年8月3日以降に出す計画から、DXに関する研修のうち次のものを対象外にしました。
- 仕事の種類を問わず、職業人として共通に必要な内容(AIの基礎知識やリテラシー、汎用的なプロンプト(指示文)の作り方など)
- 仕事に間接的にしか役立たない内容
厚生労働省の案内では、「営業担当者が、生成AIで商品提案書の構成案や文章を作る方法を学ぶ研修」は対象、「生成AIを使うための汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ研修」は対象外、という例が示されています。誰の、どの仕事に使うかがはっきりした研修であることが求められます。
あわせて、eラーニングによる研修は、同じ従業員について1年度に1回までになりました。
研修の中で、自社の資料やアプリそのものは作れない
もう一つ大切なのが、研修と「ふだんの仕事」の線引きです。支給要領では、通常の事業活動として行うものは対象外とされ、例として、コンサルタントによる経営改善の指導や、社内のマニュアルの作成・改善が挙げられています。
そのため、助成金を使う研修では、御社の資料やアプリそのものは作らず、作り方を学ぶ内容になります。届け出た計画どおりに進める必要もあるため、御社の業務に合わせて途中で作るものを変える、といった進め方もできません。
御社の実際の仕事で使うものまで一緒に作りたい場合は、助成金を使わない進め方のほうが向いています。
助成の率と上限
| 企業規模 | 助成率 | 賃金の助成 (1時間) | 上限 (1人1コース) |
|---|---|---|---|
| 中小企業 | 75% | 1,000円 | 30万円 |
| 大企業 | 60% | 500円 | 20万円 |
助成率は訓練の経費に対する率、賃金の助成は1人1時間あたりの額です。上限は、訓練時間が10時間以上100時間未満の場合の経費助成の上限です。賃金の助成は、所定労働時間内に受けた時間が対象です。
中小企業かどうかは、主な事業ごとの資本金と従業員数で決まり、どちらかに当てはまれば中小企業です。建設業や不動産業(駐車場業などを除く)は「資本金3億円以下、または常時雇用する従業員300人以下」です。
実際にいくらになるのか(計算例)
AI教習所の10時間以上のコースで計算した経費助成の目安です。価格はすべて税別で、受給を約束するものではありません。
| コース | 料金(1人) | 中小企業の場合 |
|---|---|---|
| 実装支援 12時間 | 18万円 | 助成 13.5万円 ご負担 4.5万円 |
| 実装支援 10時間(3名) | 20万円 | 助成 15万円 ご負担 5万円 |
大企業の場合は助成率が60%になり、実装支援12時間で助成10.8万円・ご負担7.2万円、10時間(3名)で助成12万円・ご負担8万円が目安です。
実装支援の6時間コースを3名以下で受ける場合は、5名分と同じ料金(60万円)で10時間に延ばします。上の2行目は、3名で受けた場合の1人あたりです。
たとえば実装支援12時間を中小企業の社員5名で受ける場合、料金90万円に対して、経費助成の目安は67.5万円、ご負担の目安は22.5万円です。所定労働時間内に受けた場合は、これとは別に賃金の助成(1人12時間×1,000円=1.2万円)が出ることがあります。人数とメニューを変えた目安は、料金シミュレーターで確かめられます。
対象になりにくいコース
- マンツーマン:社長様ご自身が受ける場合は、雇用保険の被保険者ではないため対象外です。
- 学科:AIでできることと、入力してよい情報の線引きを全員で学ぶ内容です。8月3日からの決まりでは、職業人として共通に必要な内容にあたり、対象外になる見込みです。
- 10時間未満のコース(実装支援6時間を4名以上で受ける場合、学科3時間、セミナー)は対象になりません。
助成金を使うか、使わないか
助成金を使うと、ご負担は軽くなります。そのかわり、計画を1か月以上前に届け、作り方を学ぶところまでの内容を、計画どおりに進めることになります。
「社員全体の底上げを、少ないご負担で進めたい」なら助成金を使う進め方、「御社の仕事で使うものを、作りながら決めていきたい」なら使わない進め方が向いています。迷ったら、30分の無料相談でご相談ください。社労士のご紹介を含めて、進め方をご案内します。
AI研修を何から始めるかは、工務店のAI研修は、何から始めればいいのかのコラムにまとめています。
※本記事は2026年10月26日に、2026年8月3日版の支給要領に合わせて書き直しました。助成金の要件・率・上限は変わることがあります。対象になるかどうかは、計画を出す前に管轄の労働局または社会保険労務士にご確認ください。


